数々の「木」の弱点を克服した木製食器「ひのきのうつわ」をリリースしました。これでカレーやナポリタンなど、ニオイ移りや色移りが気になって、木の器で食べるのを躊躇してしまうような料理にも気兼ねなく使え、さらに他の食器と同様に洗剤でゴシゴシ洗って、立てておくだけで水切れも抜群。
また、人気のキャンプギア「メスティン」にピッタリ収まるから持ち運びも嵩張らずラクラク。
その上、美しい木目とひのきの香りが優しく香る「木製食器」の魅力をそのまま活かした究極の逸品ができあがりました。
木製のお皿に盛りつけただけで、なんてことない料理もすごく美味しそうに見えたりしますよね?キャンプ飯にもきっと合うはず!ところが…。
アウトドアショップの店員さん、知人のキャンパーさんなどにリサーチした結果、1番人気は金属、特にチタン製がダントツ。木の器はキャンプ・アウトドアにおいて不人気でした。その理由は…。
一方で木製食器には「上質感」「風合い」「木の香り」「優しい口当たり」といった他の材質には代えがたい利点がたくさんあります。
では、上記の弱点をすべて克服することができれば、そこには利点しか残らない優れた商品が誕生するのではないか?
そんな想いから「木」の弱点と立ち向かう挑戦がスタートしました。
まずは「カビる」「変色する」「匂いが移る」「メンテナンスが大変」といった材質的な弱点の克服に挑みました。実はこれには秘策がありました。それは山本木工所さんが以前に手掛けた案件の中にある「木製シンク」の話でした。通常はステンレスなどの水への耐性が高い材質が使われます。しかし、この職人さんは「木」という水への耐性が低い材質を使ってシンクを完成させていたのです。
なぜそんなことができたか?
それは「液体ガラス」と呼ばれる特殊な塗料のおかげでした。
この「液体ガラス」は、実はまだ開発されたばかりの比較的新しい技術で、現状では寺社仏閣などの歴史的価値の有る木造建築物の保護に使われたりしている塗料で、なかなか食器などの小物に転用するには至っていなかった所、職人さんの今までの功績とねばり強い交渉によりなんとかルートを確保しました。これまでの一般的な木製食器に使われていたウレタン塗料より高価な素ではありますが、非常に高い耐久力と使い心地を実現させる、まさに夢のような塗料です。これこそがキャンプ・アウトドアシーンで選ばれる木製食器に必要な条件を叶える秘策でした。この塗料を使うことで材質的な弱点をすべて克服することができました。
次に「かさばる」「重い」という木食器ならではの形状的な弱点に立ち向かいました。
木の器と金属の器、どうしてこんなに印象が違うのか?大きな違いは「薄さ」にあるのではないか?金属の器は薄っぺらいので、ピッタリ重ねることができます。
一方木の器は重なるというよりその厚みから「積み上げる」イメージに近い。キャンプの世界では「スタッキング」と言いますが、ぴったり重ねて無駄なスペースを作らないことが荷物を少なくすることに繋がることから、キャンパーさんには美徳とされています。
そこで金属食器のようなスタッキング性能を実現することが形状を語る上で最初の課題と考えました。職人さんとの打ち合わせの中で「木は生き物だからどうしても形が変わってしまう。
薄くすればするほど反りや歪みなどの影響を受けやすい。」とのこと。
何度も試作をかさね、耐久テストを繰り返し、金属食器と同じ薄さとは言えないですが、「木」という材質を屋外でラフに使うという条件において、なんとか納得できる薄さにたどり着きました。これによって軽量化にも成功しました。
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